「買い物に行かない節約」が、老後の足腰貯金を減らしていた話

2026年5月31日。麦が実る「麦秋」のころです。梅雨前の湿った風を感じる季節になりました。
最近、「買い物に行かないのが一番の節約」という声があります。実際、ポイントやクーポン活用、食費の工夫をしている人は多いようです。
ただ私は、ふと思ったのです。
買い物に行かない節約は、財布には優しい。けれど、足腰にはどうなのか。
株歴50年超のプロが今、買うべきと考える銘柄節約上手になったはずなのに、なぜか体が重くなる
60代になると、年金、医療費、介護費、電気代、車検代。気になる出費が次々に出てきます。病気や介護、年金額への不安を感じる人も多いようです。
だから外出を減らす。スーパーへ行かない。喫茶店もやめる。家にあるもので済ませる。
たしかに家計簿は良くなります。
でも、スーパーまで歩くこと、売り場を回ること、レジで人と話すこと。そういう小さな運動と会話まで、同時に減ってしまいます。
節約の成果は数字で見えます。
しかし、足腰の衰えは家計簿に出ません。
老後資金には「現金の貯金」と「足腰の貯金」がある
60代の金融資産は、人によって大きな差があります。資産ゼロの人もいれば、3000万円以上持つ人もいるというデータがあります。(
でも私は、老後資金にはもう一つあると思います。
それが、足腰の貯金です。
歩いて買い物へ行ける。病院へ自分で行ける。風呂掃除ができる。階段をゆっくり上れる。
これは通帳には載りません。
でも、これが減ると、タクシー代、宅配代、家事代行、通院費が増えていきます。
つまり健康は、きれいごとではなく、かなり現実的な節約なのです。
びっくりしたのは、節約の敵がスーパーではなく自分の部屋だったこと
私は一週間、「買い物に行かない節約」を試しました。
冷蔵庫の残り、乾麺、冷凍ご飯。財布は開きません。私は少し得意になりました。
ところが万歩計を見ると、歩数が驚くほど少なかったのです。
五日目、台所でスプーンを拾おうとしたとき、立ち上がる膝が少し重く感じました。
その瞬間、気づきました。
私はお金を守っていたつもりで、歩く機会を削っていたのです。
翌日、私は牛乳一本だけ買いにスーパーへ行きました。節約としては意味の薄い買い物です。
でも帰り道、理髪店の店主に言われました。
「最近、見なかったですね」
その一言が、妙にうれしかったのです。
老後の節約で本当に怖いのは、無駄遣いだけではありません。
外に出る理由を全部消して、自分の存在が町から薄くなることかもしれません。
牛乳一本を買いに歩く。
それは支出ではなく、足腰の積立です。
そして、自分がまだこの町で暮らしている確認なのです。



