退職後の通帳より怖かった…スマホの奥で静かに増えていた“見えない引き落とし”の正体

デジタル終活の計画をする男性
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60代になって気づいた「スマホの中の月額料金」――遺族より先に困るのは自分かもしれない話

整理された温かな暮らしのひととき

6月に入り、私の住む町でも梅雨入りの話題が聞こえてきました。

朝の散歩道では紫陽花が色づき始め、田んぼには水が張られています。

60代になると、こうした季節の移ろいが若い頃よりもずっと心に沁みます。

一方で、最近ふと考えることがあります。

年金、健康、投資、相続。

老後の悩みは数え切れません。

しかし私たち世代がほとんど気にしていない「見えないお金の流出」があります。

それがスマホの中に眠る月額料金です。

動画配信サービス。

音楽配信サービス。

クラウド保存。

有料メール。

ネット証券。

ネット銀行。

昔は通帳と印鑑さえあればお金の流れが見えました。

しかし今は違います。

スマホの中に契約が隠れている時代です。

実は最近、「デジタル遺品」と呼ばれる問題が増えているそうです。

亡くなった後もサブスク契約が続き、家族が解約できず困るケースが報告されています。国民生活センターも注意を呼びかけています。 (国民生活センター)

今日はそんな少し変わったテーマについて書いてみたいと思います。

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老後資金を静かに削る「スマホの中の見えない契約」

私がこの問題を意識したのは、ある雨の日でした。

退職後の日課である家計簿をつけていたときのことです。

クレジットカードの明細を見ていると、見慣れない引き落としがいくつもありました。

月額480円。

月額980円。

月額1,280円。

金額は小さいのです。

ところが数えてみると驚きました。

年間にすると数万円です。

そして、そのほとんどが使っていないサービスでした。

若い頃は便利だからと気軽に契約したものです。

しかし60代になると生活スタイルも変わります。

見なくなった動画サービス。

聞かなくなった音楽アプリ。

保存するほど写真を撮らなくなったクラウドサービス。

それでも契約だけは生き続けています。

まるで誰も住まなくなった家の電気代を払い続けているようなものです。

老後資金の心配をしながら、実は毎月小さな穴からお金が漏れているのです。

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気づかないうちに年間10万円近く失う人もいる

私は試しに身近な友人たちに聞いてみました。

すると驚くことばかりでした。

「その契約まだ続いていたの?」

というケースが山ほど出てきたのです。

ある友人は昔使っていた英会話アプリ。

別の友人は株式情報サイト。

さらに昔の趣味の有料会員サービス。

本人すら覚えていません。

月額1,000円程度なら気づきません。

しかし10個あれば月1万円です。

年間12万円です。

年金生活に入ったあと、この12万円は決して小さな金額ではありません。

スーパーの買い物なら何回分でしょう。

旅行なら何回行けるでしょう。

投資資金ならどれだけ増えるでしょう。

老後資金を守るためには、大きな節約よりも小さな漏れを防ぐ方が簡単な場合があります。

ところが不思議なことに、多くの人は家の電気代は気にしても、スマホの中の固定費は気にしません。

私もその一人でした。

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実は家族より本人が先に困る時代

デジタル遺品というと、「亡くなった後の家族の問題」と思われがちです。

しかし私は違うと思います。

実際に困るのは本人です。

例えば入院です。

認知機能が低下した場合です。

スマホのパスワードを忘れた場合です。

契約内容を覚えていない場合です。

その時、自分がどんなサービスを契約しているのか分からなくなる可能性があります。

近年はネット銀行や証券口座も増えています。

スマホが開けなければ資産の確認すら難しくなるケースがあります。 (TBS NEWS DIG)

私たち60代はちょうど過渡期の世代です。

紙も知っています。

デジタルも知っています。

だからこそ両方の管理が必要なのです。

私が実際に始めた「月に一度のデジタル終活」

終活という言葉を聞くと重たく感じます。

しかし私はもっと気軽に考えています。

毎月1日。

コーヒーを飲みながら30分だけ。

スマホの契約を見直します。

契約一覧をノートに書く。

証券口座を確認する。

銀行口座を確認する。

使わないサービスを解約する。

たったこれだけです。

すると不思議なことに安心感が生まれます。

家計が見えるようになります。

資産が見えるようになります。

将来への不安も少し減ります。

実際、専門家もネット上の資産や契約内容を整理しておくことを勧めています。 (国民生活センター)

私はこれを「デジタル終活」ではなく、

「未来の自分へのメモ」

だと思っています。

もしもの時のためではありません。

明日の自分のためです。

そして家族のためです。

年齢を重ねるほど、整理整頓は財産になります。

若い頃は増やすことばかり考えていました。

服を増やす。

物を増やす。

サービスを増やす。

口座を増やす。

しかし60代になって思うのです。

人生は増やすより、整える方が難しい。

そして整える方が価値がある。


ここで話は終わると思うでしょう。

ところが最後に、私自身が一番驚いた出来事があります。

先月、契約整理をしていた時のことです。

解約しようとしていた古い証券口座を確認しました。

10年以上前に作った口座です。

残高はないと思っていました。

ところが確認すると、忘れていた株式配当金が入金されていました。

金額は数百円でした。

しかし調べてみると、その口座には昔買った株がまだ残っていたのです。

評価額は思った以上になっていました。

私は毎月のサブスクを節約しようとしていました。

ところが実際には、忘れていた資産を発見したのです。

老後のお金を守るために始めた整理整頓が、老後のお金を増やす結果になりました。

人生は面白いものです。

お金は増やすことばかりが資産形成ではありません。

見失ったお金を見つけることも立派な資産形成です。

60代になると、新しいことを始めるよりも、今あるものを見直す方が大きな成果につながることがあります。

年金額を増やすのは難しい。

投資で大成功する保証もありません。

しかし、スマホの中の見えない契約を整理することは今日からできます。

そしてもしかしたら、私のように忘れていた資産が見つかるかもしれません。

老後の資産形成とは、株価の上昇を待つことだけではないのです。

自分の人生の棚卸しをすること。

それこそが本当の資産形成なのかもしれません。

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【参考サイト】

・国民生活センター「今から考えておきたいデジタル終活」 (国民生活センター)
・東京都消費生活総合センター「デジタル遺品で困らないために」 (消費生活センター)
・川崎市消費者行政センター「家族が困らないためにデジタル終活を考えましょう」 (川崎市公式サイト)
・NBC長崎放送「デジタル遺品トラブル」 (TBS NEWS DIG)

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