貯めるより先に予約したいものがある!2026年夏ボーナスで守る夫婦の元気な残り時間

七夕を目前にした2026年7月4日、朝から庭の草が勢いよく伸びています。梅雨どきの草は、こちらの都合などお構いなしです。少し前に刈ったはずなのに、もう何事もなかったような顔で青々としています。
この時期になると、現役で働いている人からは「夏のボーナスが出た」という話が聞こえてきます。
私たちの年代になると、自分自身はすでに退職していたり、再雇用で賞与が少なくなっていたり、配偶者だけがボーナスを受け取ったりと、事情はさまざまです。それでも「まとまったお金をどう使うか」という問題は、老後を考えるうえで他人事ではありません。
2026年夏は、企業の37.1%が一人当たりの平均賞与を前年より増やすと回答し、平均支給額も前年から約1万8000円増える見通しだと報じられています。一方で、すべての会社員が景気のよさを実感しているわけではありません。物価高によって、増えた分が食費や光熱費に消えてしまう家庭も少なくないでしょう。
2026年の夏ボーナスの使い道に関する調査では、「最も多くお金を使う予定の項目」の1位が預貯金、2位が旅行・レジャー、3位が投資・資産運用でした。旅行と投資の差は、わずか2票だったそうです。
預金、旅行、投資。
どれも間違いではありません。むしろ、非常にまじめで健全な使い方です。
しかし、60代が夏のボーナスを使うなら、もう一つ考えておきたい使い道があります。
それは、何かを増やすことではありません。
これからの人生で抱え続ける「面倒」「不安」「維持費」「契約」「荷物」を減らすために使うことです。
私はこれを、勝手に「老後の荷下ろしボーナス」と呼んでいます。
若い頃は、銀行口座がいくつあっても、それほど気になりませんでした。
給与振込用、住宅ローン用、定期預金用、証券口座との連携用、近所の金融機関、昔勤めていた会社から指定された口座など、長く働いていると口座は自然に増えていきます。
クレジットカードも同じです。
ガソリン代がお得になるカード、家電量販店のカード、旅行保険が付いているカード、ネット通販でポイントが付くカードと、一枚ずつ増えていきます。
最近は動画、音楽、電子書籍、健康食品、オンラインサービスなどの定額契約もあります。月額500円や980円なら大した金額ではないと思い、そのまま放置しているものもあるでしょう。
ところが60代になると、こうした「少額の契約」が、じわじわと面倒になってきます。
IDやパスワードを忘れます。
カードの更新時期が分からなくなります。
引き落とし口座を変更したはずなのに、一つだけ古い口座から落ちていることもあります。
自分が元気なうちは何とかなりますが、入院したときや認知機能が低下したとき、家族がすべてを調べるのは簡単ではありません。
2026年夏は、年1%を超える特別金利を出す定期預金も見られます。しかし、高い金利だけを理由に新しい口座を増やすと、管理する口座がさらに増えてしまいます。口座をいくつも持つより、役割を整理して少数にまとめることが大切だという指摘もあります。
仮に50万円のボーナスを年1.2%の定期預金に一年預けても、税引き前の利息は6000円ほどです。
もちろん6000円は大切なお金です。
ただし、そのために新しい銀行口座を作り、暗証番号やログイン情報を増やし、将来家族が存在を知らない休眠口座になってしまえば、得をしたのか損をしたのか分かりません。
そこで夏のボーナスの一部を、金融商品ではなく「お金の整理」に使ってみるのです。
例えば、古い通帳や契約書を入れる耐火保管ケースを購入する、重要書類をスキャンする、不要なクレジットカードを解約する、専門家に相続や財産管理を相談する、といった使い方です。
一見すると、お金を増やさない地味な支出です。
しかし、70代、80代になった自分や家族が困る時間を減らせるなら、十分に価値のある投資だと思います。
ボーナスが入ると、家電や車を買い替えたくなります。
テレビの画面を少し大きくしたい、炊飯器を高級なものにしたい、新しいスマートフォンが欲しい。私も家電量販店へ行けば、用事がなくても店内を一周してしまいます。
けれども60代の家計では、欲しい物より先に「数年以内に必ず壊れる物」を確認したほうがよさそうです。
給湯器、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、屋根、外壁、車検、タイヤ、入れ歯、補聴器、眼鏡などです。
特に夏場は、エアコンが止まると健康にかかわります。壊れてから慌てて購入すると、在庫や工事日程の都合で選択肢が少なくなり、予想以上に高い買い物になりがちです。
ボーナスを全額使ってしまうのではなく、例えば30万円を「生活設備の修理予約金」として別に保管しておきます。
これは通常の貯金とは少し意味が違います。
使ってはいけない老後資金でもなく、自由に使えるお小遣いでもありません。「近い将来、暮らしを守るために使うお金」です。
過去のボーナス調査では、預貯金に回さない理由として、生活費や日常支出への充当が多く挙げられています。節約したくても、生活費が上がって節約する余裕そのものがないという回答も見られました。
だからこそ、2026年夏は「余ったら修理に回す」のではなく、最初から修理費を確保しておく必要があります。
私なら、ボーナスが50万円あった場合、次のように考えます。
20万円は生活設備の修理用、10万円は医療・歯科用、10万円は旅行や外食など夫婦で楽しむため、5万円は投資、残り5万円は家の中を整理するために使います。
投資額が少ないと思う人もいるでしょう。
しかし、60代の投資で一番怖いのは、相場が下落したときに給湯器や車が壊れ、損失を抱えた状態で投資商品を売らなければならなくなることです。
若い頃なら、次の給料や次のボーナスで取り戻せます。
ところが退職後は、まとまった収入が次にいつ入るか分かりません。
ボーナスをNISAへ入れること自体は悪くありません。ただ、老後が近い年代では「何年間使わずに置いておけるお金なのか」を確かめてから投資することが大切です。
ボーナスが入るたびに何となく積み立てを増やしてしまい、毎月の家計が苦しくなるのでは本末転倒です。老後への不安から積み立て過ぎることにも注意が必要だと指摘されています。
未来のために今を苦しくし過ぎない。
この加減は、60代になっても難しいものです。
ここからは、私が夏のボーナスについて考えていたときに思い出した、少し不思議な話です。
実家の物置には、父が使っていた古い金庫がありました。
大人二人でも簡単には動かせない、灰色の重たい金庫です。
父が亡くなったあとも、「何か大切な物が入っているかもしれない」と思い、誰も処分できずにいました。
鍵は見つかりません。
暗証番号も分かりません。
専門業者に頼むと、開錠と運搬、処分を合わせて数万円かかると言われました。
金庫を捨てるために数万円も払うのは、何とも惜しい気がしました。
中身が空だったら、本当に無駄な出費です。
それでも、物置を整理しなければ家そのものを手放すことができません。そこで私は、ある年の夏に受け取ったわずかなボーナスから、処分代を出すことにしました。
業者の方が工具を使い、金庫の扉を開けました。
中から出てきたのは、金の延べ棒でも、株券でも、高級腕時計でもありませんでした。
黄ばんだ封筒が一つだけ入っていました。
表には、父の字で「昭和最後の夏季賞与」と書いてありました。
中には古い一万円札が数枚と、小さく折り畳まれた紙が入っていました。
紙には、こう書かれていました。
「家族旅行に使うつもりだったが、仕事が忙しくて行けなかった。来年こそ使う」
その「来年」は、結局来ませんでした。
父は翌年も忙しく働き、その次の年も働きました。私たち家族は旅行へ行かないまま、子どもたちは大人になり、父は年を取りました。
お金は減っていませんでした。
けれども、お金と一緒に金庫へ入れられた時間は、戻ってきませんでした。
私はその古いお札を銀行へ持っていかず、今も一枚だけ手元に残しています。
残りのお金は、母ときょうだいを誘い、近場の温泉宿へ行くために使いました。
つまり、父が受け取った昭和の夏ボーナスは、何十年も遅れて家族旅行になったのです。
私はそれ以来、ボーナスを全額貯金することが、必ずしも正しいとは思わなくなりました。
全額を使う必要はありません。
全額を投資する必要もありません。
全額を老後のために残す必要もありません。
老後資金は大切ですが、元気な60代の夏も、人生で一度しかありません。
1日1時間・スマホ1台でOK|Threads×noteで月10万円を稼ぐ2026年夏のボーナスが入ったなら、一部は生活を守るために残し、一部は将来の面倒を減らすために使い、ほんの一部でも「今年でなければできないこと」に使ってよいのではないでしょうか。
遠くへ旅行する必要はありません。
夫婦で少しよい昼食を食べる、疎遠になっていた友人に会いに行く、古い写真を家族で整理する、孫と一緒に花火を見る。その程度でも十分です。
七夕の短冊には、将来の願いを書きます。
しかし、願いをかなえる日を、いつまでも未来へ延ばしてはいけません。
ボーナスの使い道を決めるということは、単にお金を振り分ける作業ではなく、「これからの限られた時間を何に使うか」を決めることなのだと思います。
増やすことだけが資産形成ではありません。
不安を減らすこと。
家族の負担を減らすこと。
元気なうちに思い出を増やすこと。
そして、使えなかったお金を残すのではなく、「使ってよかった」と言える時間を残すこと。
それが、60代からの2026年夏ボーナスの、少し変わった使い道です。
【参考にしたサイト】
・All About「2026年夏ボーナスの使い道ランキング! 2位『旅行・レジャー』、1位は?」
・All About「【2026年夏ボーナス】支給額を増やす企業は37.1%。平均支給額は前年から1万8000円増加」
・PRESIDENT Online「夏のボーナスが『生活費の穴埋め』に消える…意識調査に表れた家計の現実」
・PRESIDENT Online「お金が貯まる人は“3つあれば十分”と知っている…ボーナス特別金利で増える銀行口座への注意」
・毎日が発見ネット「老後は心配だけど…専門家が警告『積み立て過ぎ』のデメリット」



