都内60代夫婦の生活費事情:定年後も心豊かに暮らすための現実

お読みいただきありがとうございます。私は現在60代、都内在住の元会社員で、今はライターとして第二の人生を歩んでいます。
定年を迎えたある朝、妻と近所の公園を散歩していたとき、「これからの生活、どれくらいかかるんだろう?」とふと思ったことがありました。年金が主な収入源になるなかで、どこにどれくらいお金をかけるべきか——これは多くの60代が感じている共通の疑問ではないでしょうか。
今回は、総務省の「2019年全国家計構造調査」のデータをもとに、都内で暮らす60代夫婦の生活費について、私自身の経験も交えながら詳しく解説していきます。
1. 60代夫婦の生活費の平均額とは?:都内という土地柄が影響
総務省の調査によると、都内に住む60代前半の勤労世帯(夫婦二人以上)の生活費は、月平均約34万7,000円です。これは、地方に比べてかなり高額な水準だと感じます。
私も定年後に実際に生活費を洗い出してみたところ、「家計簿はつけていないけれど、これくらいはかかっているな」と妙に納得しました。
以下が平均的な費目の内訳です:
費目 | 月額平均 |
---|---|
食費 | 約11万4,000円 |
住居費 | 約2万4,000円 |
教養・娯楽費 | 約1万5,000円 |
その他(水道光熱費、保険、交際費など) | 約19万4,000円 |
とくに食費と交際費は想像以上にかかります。友人との再会や親戚づきあいも多くなる世代なので、外食やお土産の出費が増えるんですね。私自身も、近所のそば屋で友人と昼食をとるのが月に数回の楽しみです。
2. 60代後半になると生活費は減る?:支出の質が変わる
年齢を重ねるごとに、生活費はどのように変わるのでしょうか?
60代後半になると、生活費は平均で約32万円に減少すると言われています。その要因は、子どもの教育費や仕送りなど、長年かかっていた支出がなくなることにあります。
しかし、興味深いのは教養・娯楽費がむしろ増える傾向にあるという点です。
これはまさに、仕事や子育てに追われてきた日々から解放され、自分の時間を楽しめるようになった証拠だと思います。私も趣味のカメラを持って街を散策しながら、風景や花を撮る時間を大切にしています。写真クラブにも参加しており、撮影旅行の費用も娯楽費に計上しています。
3. 固定費の見直しで暮らしを軽くする:手取りが減るからこそ見直しを
年金が主な収入源となる60代。定収入ではなくなるからこそ、固定費の見直しがカギを握ります。
私の体験談ですが、光熱費を電力自由化プランに変更したところ、年間約4万円の節約に。保険も見直して、保障内容はそのままに約10万円分の保険料を削減できました。
なかでも特筆すべきは通信費。以前は大手キャリアで月1万円以上かかっていましたが、格安SIMに乗り換えたことで、現在は月3,000円以下。年間で約8万円の差が生まれました。
見直すべきポイントは「固定で発生する出費」。保険、電気・ガス、水道、通信費、NHK受信料など、月ごとに一定額がかかるものをいちど整理するだけで、生活の見通しがずいぶん明るくなります。
4. 食費は楽しみながら賢く節約を:健康も財布も守るために

60代は、体調の変化にも気を配りつつ、美味しく食べて元気を保ちたい世代です。とはいえ、外食が多くなると食費がかさみ、栄養の偏りも気になります。
我が家では、“家ごはんデー”を週2回ほど設けています。旬の食材を使った季節料理を一緒に作ることで、健康に良く、家計にも優しい。そして何より夫婦の会話が自然と増えます。
最近作って美味しかったのは、「塩麹で漬けた鶏むね肉と大根の煮物」。1食あたり2人分で約500円程度。食費の節約を意識しつつ、料理が夫婦の趣味になっていくのも良い変化だと感じています。
また、生協の宅配や業務スーパーの冷凍食材も便利です。下ごしらえ不要で、手間も省け、結果として外食頻度も下がりました。
5. 趣味・教養費の増加を前向きに捉える:自己投資が次の人生を支える
「贅沢」と思われがちな趣味・教養費ですが、心の健康のためにはむしろ必要な支出といえます。
私は囲碁を始めたのが定年後。それまではまったく縁のない世界でしたが、囲碁サロンでの人との交流が楽しく、今では生活の一部です。費用は月5,000円前後ですが、それ以上の価値を感じています。
また、図書館で借りた本を片手にカフェで過ごす時間も至福。お金をかけることより、かけ方を選ぶことが重要だと思います。
6. 生活費における「安心の種」としての医療費:制度を知って備える

加齢とともに増加するのが医療費。60代からは予防医療と情報収集が要です。
高額療養費制度(=月の医療費が一定額を超えた際に自己負担が軽減される制度)や、自治体の健康診断補助など、活用すれば出費を抑えられる制度は数多くあります。
私も共済保険を利用しており、一定の通院費が後日返金される仕組みを活用しています。また、薬代やサプリ代も意外と負担になるので、これらも「医療関連支出」として月ごとの予算に組み込んでいます。
7. 今後に備えて、年金と貯蓄のバランスを考える:収入減でも焦らない工夫
現実として、年金だけで都内の生活をすべてまかなうのは難しいのが実情です。
私は定年後、年金受給までの空白期間を退職金と個人年金で埋め、その後は生活費を年金+副収入(ブログ収益など)で補っています。
また、無理のない範囲で少額の投資信託を運用するなど、リスクを抑えた資産活用も取り入れています。大切なのは、「守る資産」と「育てる資産」を分けて考えることです。
8. おわりに:60代からの暮らしは“バランス感覚”が命
都内で暮らす60代夫婦の生活費は、平均して30万円以上。数字だけを見ると不安になりますが、要は「どう使い、どう楽しむか」です。
日々の小さな節約と、心の豊かさを保つための支出。そのバランス感覚こそ、60代以降の生活を大きく左右する鍵になると、私は感じています。
食事、趣味、医療、家計──いずれも一気に変える必要はありません。まずは「見直すこと」から始めてみませんか?
人生100年時代、60代はまだまだ序章です。これからの自分たちの暮らしに、少しの工夫と前向きな気持ちを添えて、もっと自由に、もっと穏やかに、過ごしていきましょう。
次回は、60代から始める“副収入の作り方”についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!
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