若者が地方議員を目指さない理由と、血縁で当選する現実について考える
なぜ今、地方議員のあり方を問うのか
- 地方の高齢化と人口減少が進む中、若い世代の政治離れが深刻。
- 地方政治において、議員が地域活性化の鍵を握る存在であること。
- 「なぜ若者が立候補しないのか?」という疑問からこの記事はスタートします。
- 60年の地方生活で見えてきた現実をもとに、私見を交えて考察します。
解説:
地方自治体の議会には、地域を変える力があります。それなのに、若い人がそこに飛び込まない。これは「関心がないから」だけでは済まされない問題です。私も地域の自治会に関わる中で、「若い人が来ない」という声を何度も聞いてきました。その背景をひも解くことで、地域が抱える構造的な課題も見えてくるのです。

なぜ若者は議員を目指さないのか?
- 収入面の不安定さと議員報酬の低さ。
- 政治に関わるにはハードルが高いという心理的な壁。
- 若者の政治意識の希薄化と日常との乖離。
- 地域に残る若者が少なく、立候補者の母数自体が減少。
解説:
ある町では町議の報酬が月額15万円程度。フルタイムで働きながらでは到底務まらず、かといって専業にするには生活が厳しい。私の知人も、「やりたい気持ちはあるけれど、家庭を持ちながらは無理」と話していました。また、SNSなどを通じた情報環境の変化で、若者の関心が都市部やグローバルな話題に向いていることも一因でしょう。
地方議員は本当に血縁で回っているのか?
- 小さな町では血縁や地縁が選挙で圧倒的に有利。
- 過去の実績よりも名字で票が入るケースも。
- 地域内で「顔が広い」ことが当選要因に。
- 外部からの立候補者が排除されやすい傾向。
解説:
私の住む町でも、現職議員の息子や甥が次の選挙に出ることは珍しくありません。それを「悪い」と言うつもりはありませんが、実質的に新規参入が難しい構造です。名字だけで投票されるのは、政策よりも人柄や関係性を重視する地域特有の文化も影響しています。ある意味で、「新しい風」を地域が受け入れづらくしているとも言えるでしょう。
地方議会の構造的な問題点
- 任期が長期化しやすく、新陳代謝が起きにくい。
- 議会内に多様な視点が不足。
- 地域課題が時代の変化に追いつかない。
- 新人が孤立しやすい閉鎖的な雰囲気。
解説:
議会に行けばわかりますが、発言者の顔ぶれが毎年ほとんど変わらない。議会が“老人会”のようになってしまっているという声もあるほどです。新しいアイデアや世代感覚を持ち込むことが、そもそも歓迎されない風潮も、若者が立候補を避ける理由になっていると感じます。
若者が政治に関わる意義とは

- 地域に新たな視点と活力をもたらす存在。
- ITやSNS活用など、現代的な施策への対応力。
- 高齢者中心の政策からの脱却。
- 自分たちの未来を自分たちでつくる第一歩。
解説:
私が若い頃と今では、社会のスピードがまったく違います。今の若者ならではの視点で「住みやすさ」「働きやすさ」を考えることで、高齢者も住みやすい地域ができるはずです。若者が無関心でいるのはもったいない。逆に言えば、彼らが入ってくるだけで大きな変化が生まれる可能性があるのです。
表:ある地方議員の年代別構成比
年代 | 割合(%) |
---|---|
20代 | 0% |
30代 | 5% |
40代 | 12% |
50代 | 25% |
60代以上 | 58% |
解説:
この表からもわかるように、地方議会は60代以上が中心。20〜30代の若者の割合はごくわずかです。世代間で価値観や考え方が違う中、この偏りは地域政策にも影響を及ぼしているはずです。
若者が議員になるには何が必要か

- 政治参加のハードルを下げる制度設計。
- 若者向けの議会インターンや研修制度の充実。
- SNSなどでの活動発信の支援。
- 地域コミュニティの理解と応援。
解説:
若者が議員になるには、制度的な後押しが不可欠です。たとえば報酬の見直しや、子育て支援と両立できる仕組みなど。また、インターン制度を通じて、政治を“身近なもの”として体感する機会も重要です。私の孫も、学校の授業で模擬議会を体験してから興味を持ち始めました。
今、議員に求められる新しい姿とは?
- 議員=名誉職ではなく、実務的な役割が求められる。
- 地域課題に即応できる行動力。
- 地元住民との距離の近さが重要。
- プロとしての意識と成果重視の評価制度。
解説:
かつては議員になること自体が「すごいこと」でしたが、今は違います。地域の課題解決に直結する、実務的な能力が必要です。私が地域で出会った若いリーダーも、「会議より現場」と言って、地域清掃や高齢者の見守りに自ら足を運んでいました。こうした姿が信頼を得る時代です。
地元有力者の影響力とその弊害
- 選挙戦において支援団体の後押しが決定的。
- 過去の実績よりも“付き合い”が優先される風潮。
- しがらみの中で、自由な発言が難しくなる。
- 地域の閉鎖性を強める原因に。
解説:
地元の名士や企業の後押しがないと選挙は戦えない、という話は地方ではよく聞く話です。確かに支援を得るのは大切ですが、それが強すぎると、議員としての自由な判断が損なわれてしまいます。「あの人の紹介だから…」と本音が言えない環境では、若者も窮屈に感じてしまうのは当然です。
有権者の意識と選挙の投票行動
- 政策よりも「知っている人」に投票する傾向。
- 情報が紙媒体中心で、若者が接しにくい。
- 投票率の低さが議会の高齢化を助長。
- 意識を変えるには地域メディアの工夫が必要。
解説:
「誰が何をするかより、誰かを知ってるか」。こうした空気が、私たちの町の選挙を支配しています。これでは新しい候補者が埋もれてしまいます。もっとSNSやYouTubeなど、若者が使うメディアで情報を発信する仕組みが必要でしょう。地元の広報も、若い世代に届く形へと変わる必要があるのです。
最後に:私たちは何をすべきか?
- 地域全体で若者を育てる意識を持つこと。
- 「立候補=リスク」ではなく「挑戦」と捉える文化。
- 地方政治を“他人事”から“自分事”に変える。
- 有権者一人ひとりの意識変革が鍵。
解説:
若者が議員にならないのは、彼らの責任ではありません。地域全体の空気や仕組みが、そうさせている面も大きいのです。私たち60代以上が、若者の挑戦を「応援」できる空気を作ることが、今求められているのではないでしょうか。
地域を変える第一歩:あなたにできること
- 家族や友人と「地方議会って何してるの?」という会話をしてみる。
- 若い世代に選挙や政治の話題を投げかけてみる。
- SNSや地域イベントでの情報発信を支援する。
- 地元の議会を傍聴して、現状を自分の目で見る。
あなたの行動ひとつが、地域の未来を変える一歩になります。今日から、できることを少しずつ始めてみませんか?