知らないと損する“年齢と年収の関係”|男女でこんなに違う働き方のリアル

私は60代です。定年や再雇用、年金との兼ね合い……給与の数字は、老後の暮らしの解像度を上げてくれます。ここでは最新の国税庁データをベースに、年代別×男女別の平均給与をやさしく読み解き、「じゃあ自分は何をしたらいい?」まで落とし込みます。途中で表も挟みますので、印刷やスクショで手元に置いていただいても役立ちます。
あなたも、「自分の年収は相場の中でどう見えるか?」を、一緒に確かめていきませんか。
- 出典は国税庁の基幹統計
- 金額は年間の「平均給与」(給与・手当+賞与)
- “全員”の平均と“1年を通じて勤務”者の平均の違いに注意
上の3点を押さえると、数字の意味がぶれません。国税庁の「民間給与実態統計調査」は、毎年公表される基幹統計で、年間の給与実態(給与・手当+賞与)を明らかにします。
本稿では最新の令和6年分(2024年の支給実績、2025年9月公表)を参照。なお本文で示す平均は、原則として「1年を通じて勤務した給与所得者」の平均額を基本にしています(男女計=478万円、男性=587万円、女性=333万円)。調査の位置づけや用語は本文中の各所で補足していきます。国税庁
まず“性別平均”で現在地をつかむ
- 男女計の平均給与=478万円
- 男性の平均給与=587万円/女性=333万円
- 平均年齢・平均勤続年数の目安も重要
まず地図を広げる感覚で性別の全体平均を確認します。国税庁データでは、男女計=478万円、男性=587万円、女性=333万円。この“全体の基準”を持つと、年代別のグラフを見たときに「高いのか低いのか」を直感で判断できます。あわせて、**平均年齢(男女計で約47.2歳)や平均勤続年数(同12.6年)**といった“時間軸の情報”も、給与の背景を読むうえで効きます。「自分は勤続が短めだから、平均より低くても当然」など、数字に振り回されず冷静に見られるからです。国税庁
性別の平均給与(令和6年分・1年通勤者ベース)
| 区分 | 平均給与 |
|---|---|
| 男性 | 587万円 |
| 女性 | 333万円 |
| 男女計 | 478万円 |
| (出典:国税庁「民間給与実態統計調査」令和6年分)国税庁+1 |
年代別×男女別の山:男性は“55〜59歳ピーク”、女性は緩やか
- 男性は年齢とともに上昇し55〜59歳=735万円で頂点
- 女性は年齢による差が比較的小さく、緩やかなカーブ
- “合計(男女計)”では55〜59歳=604万円→60〜64歳=472万円と下り坂へ
年代別のグラフは“人生の収入カーブ”そのもの。男性は60歳未満までは賃金が上がり、55〜59歳で735万円がピーク。女性は全体として年齢による格差が男性ほど大きくないのが特徴です。男女計で見ると、55〜59歳=604万円が山で、60〜64歳=472万円以降はリタイアや再雇用の影響もあり緩やかに低下。私自身、58歳の時はまさに“山の手前”。「この先は下り坂。ならば今から何を積み上げるか」を具体化できました。国税庁
年代別の平均給与(男女計の目安)
| 年代 | 男女計の平均給与(万円) |
|---|---|
| 55〜59歳 | 604 |
| 60〜64歳 | 472 |
| 65〜69歳 | 380 |
| 70歳以上 | 305 |
| (国税庁 第14図のラベル値より。細かな中間年代は図表参照)国税庁 |
“平均給与”の中身:給与・手当と賞与のバランス
- 平均給与は「給与・手当」+「賞与」
- 男女計の“賞与割合”はおおよそ18〜20%台のレンジ
- 企業規模・業種で賞与の厚みは変わる
数字の“温度”を知るには中身が大切。国税庁の内訳表を見ると、平均給与=給与・手当+賞与で構成され、男女計では賞与割合が概ね2割弱前後に位置します。業績連動の会社ほどボーナスの振れが大きく、個人の実感もその年の景気で上下します。「今年のボーナスが良かったから平均を上回った」なら、来年は固定給の底上げに目を向けるとブレに強い家計設計になります。国税庁
就業形態のちがい:正社員か、そうでないか
- 正社員は平均が高く、男女差も反映されやすい
- 非正社員は平均が低めだが、働き方の自由度は高い
- 再雇用・短時間勤務の選択で“手取り×時間”の最適解
同じ年代でも雇用形態が違うと“見える景色”は変わります。国税庁の表でも、正社員の平均は非正社員より高く、ここに男女差も絡みます。再雇用期(60代前半)では「年金の受給開始時期」や「社会保険料の負担」を含めて**“手取り×時間の満足度”で考えるのがコツ。私も週4勤務+午前シフト**に切り替えた時期があり、家事や通院との両立がぐっとラクになりました。国税庁
企業規模・業種で差:どこで働くかが賞与に映る
- 従業員5,000人以上の事業所は平均が高い傾向
- 業種別では“電気・ガス・水道”が突出、次いで“金融・保険”
- “宿泊・飲食サービス”は平均が低め
同じ年代・同じ性別でも業種・企業規模で賞与や昇給の波が違います。データ上、大規模事業所ほど平均給与が高い傾向が見え、業種別のトップは「電気・ガス・熱供給・水道業」=832万円、次点「金融業・保険業」=702万円。一方で**「宿泊・飲食サービス」=279万円**と低めです。転職や副業を考える際は、産業の賃金水準も“地図”として持っておくと、現実的な年収設計がしやすくなります。国税庁+1
60代のリアル:60〜64歳でどう受け止めるか

- 男女計の平均は472万円(60〜64歳)
- 働き方の設計次第で“手取り感”は大きく変わる
- 健康・可処分時間の価値も“所得”の一部
60〜64歳の平均=472万円は、フルタイムと短時間勤務が入り混じる“過渡期の姿”です。厚生年金の在職調整や扶養の壁も絡むため、同じ総支給でも手取りが違うことが珍しくありません。私の周りでも、週4勤務+在宅で“医療・介護・趣味”の時間を確保し、「給与は平均前後でも生活満足度は上がった」という例が増えています。収入×健康×時間の掛け算で最適点を探したい年代です。国税庁
65歳以降:再雇用・フリーの現実と年収の“落ち方”
- 65〜69歳の男女計平均=380万円、70歳以上=305万円
- “時給×稼働日数”でのコントロール余地が広がる
- 年金・雇用保険・税の“段差”を先に確認
65歳を超えると平均はさらに低下します。65〜69歳=380万円、70歳以上=305万円が一つの目安。ここでは就業密度(日数・時間・時給)で収入を調整しやすく、年金とのバランスで“ちょうどいい働き方”を探れます。雇用保険の高年齢雇用継続給付の有無や個人事業の青色申告など、税・社保の仕組みを事前に押さえると、手取り感の落差をやわらげられます。国税庁
表で再確認:年代別と男女差のポイントをつかむ
- 男性は55〜59歳が山(735万円)
- 女性は年齢差が相対的に小さい
- “家計の山場”は50代後半、下り坂に入る前の備えが要
グラフの数字を要点表でおさらいします。男性は55〜59歳で735万円と明確なピーク。女性は年齢によるばらつきが小さめで、雇用形態や就業時間の影響が強く働きます。家計の視点では50代後半が“貯蓄のラストスパート”。ここで住宅・教育・親の介護が重なると、下り坂に入る60代以降の余裕が圧迫されます。計画的な繰上げ返済や支出の固定費見直しを前倒しに。国税庁
グラフの読み解きコツ:平均だけでなく“分布”も意識
- 平均は“真ん中”ではない(中央値ではない)
- 分布の“裾”に自分がいても悲観しない
- 職歴や地域、産業ミックスで比較軸を合わせる
“平均=みんなの真ん中”ではありません。高所得者が押し上げることもあるため、中央値(真ん中の値)とは別物です。国税庁の表や総務省・厚労省の統計を併読し、自分の職種・地域・勤続に比較軸を合わせると、現実的な自己評価に近づきます。私は退職前、同業・同規模・同世代で比較し直したところ、焦燥感がすっと薄れました。「自分の土俵で見る」——これがメンタルにも効きます。国税庁
50代後半〜60代の“やることリスト”:年収カーブを生かす
- 収入ピーク期に“固定費の最適化”
- 60代前半の“働き方×年金”の設計
- 健康・学び直しへの投資は“じわじわ効く”
数字は行動に落としてこそ価値が出ます。ピーク期は保険・通信・住居費など固定費の一掃を。60代前半は在職老齢年金や社会保険料を踏まえて勤務日数・時間の最適化を試算。私は腎機能値をきっかけにウォーキング&軽い筋トレを日課にし、通勤を短くする働き方へ。医療費や通院時間の節約は、結局手取りを増やすのと同じ効果を生みます。
“世帯”で見る:配偶者の収入・働き方が家計を左右
- 個人の平均だけでなく“世帯合算”で設計
- 配偶者の就業調整(扶養/社会保険)と税の影響
- ペース配分:どちらが“時間を出すか/稼ぎを出すか”
60代は介護・孫育て・地域活動が重なりやすく、「誰が時間を出すか」の設計が肝です。配偶者の就業形態や扶養の扱いで可処分所得は動きます。個人の平均ばかり追うより、世帯の現実に合わせて時間の最適配分を。私の家でも、妻の短時間勤務+私の在宅比率アップに切り替え、役割の再設計をしました。結果、家計も心も安定しました。
“第二の収入源”の作り方:リスクを抑える三か条
- “小さく試す”副業から(時間課金・知見販売)
- 退職前の“社外ネットワーク”づくり
- 税・社保・青色申告の基本だけは押さえる
平均給与の“下り坂”に合わせて副収入の芽を育てるのは有効です。講師、レビュー、相談業務、シニア向け伴走など時給化しやすい仕事から小さく。退職前に名刺の外側のつながりを育てておくと、声がかかりやすくなります。青色申告の控除や必要経費の考え方を押さえ、無理のない範囲で継続するのがコツです。
まとめ:数字を“安心の設計図”に変える
- 最新平均=男女計478万円、男性587万円、女性333万円を自分の物差しに。国税庁+1
- 年代別では男性55〜59歳が735万円でピーク、60代以降は緩やかに低下。女性は年齢差が比較的小さい点に着目。国税庁
- 今日からの一歩:固定費の最適化/働き方×年金の試算/健康・学びへの投資/副収入の“小さな芽出し”。
数字は“冷たい事実”ではなく、安心の設計図です。家計・働き方・健康の三面から、あなたの“ちょうどいい”暮らしに合わせて微調整していきましょう。
最後に質問です。あなたの現在地(年代・就業形態・家族構成)で、この平均値をどう“行動”に落としていきますか?「今日からできる対策」を、まずひとつだけ始めてみませんか。
出典(主要グラフ・数値)
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」:平均給与(男女計=478万円、男性=587万円、女性=333万円)、平均年齢・平均勤続年数、平均給与の内訳、業種別・企業規模別の比較、年代別グラフ(第14図)など。国税庁+5国税庁+5国税庁+5
補足の表(本文内)
(※本記事は国税庁公表の最新年版に基づいて作成しました。詳細な年代別×男女別の全区分値は、第14図および同報告の詳細表をご参照ください。)
